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このページでは、市民・大学のネットワークを通じて、全国の学者や市井の人々から情報を提供していただいた資料、これまでの先駆的な研究が収集した資料、私たちのプロジェクトで収集した資料などを、広く市民が使用できるようにご提示する予定です。
東京の薬舗が販売した丸薬「毒掃丸」の引札。一月間服用する間に、梅毒・瘡毒・胎毒・湿毒・淋病など一切の毒を除き、身体を強壮にする効能を謳う。 |
なお、「毒掃丸」は、現在は便秘薬として、「複方毒掃丸」の名で販売されている。
牛痘種痘の普及に尽力した江戸の町医・桑田立斎(くわた りゅうさい)が作成した牛痘種痘奨励の版画。1849(嘉永2)年に初版が作成されて以降、版が重ねられ(本資料は再刻版)、列島各地でもそれを模した版画が多数作成された。 白牛に乗った「牛痘児」(生国オランダ)が、右下の「疱瘡神」(実は悪魔)を、槍(種痘針)で追い払っている。「牛痘児」の上腕部には、種痘の跡も描かれる。 【参考】 |
・高橋真一『幕末の種痘医 桑田立斎――「牛痘児図」による天然痘撲滅への挑戦』新潟日報事業社、2013年。
1877(明治10)年、明治期最初のコレラ流行に際して、行政手続きを定めた「虎列剌病予防法心得」(内務省達乙第79号・全24条、以下「心得」)が布告されたのをうけ、日常生活に関する注意事項を絵入りでまとめた刷り物。8項目より成る。 |
内容は、一部「心得」(患家との往来の禁止・居住場所の清掃)の条項とも呼応するが、全体的には衣食住全般わたる身体の養生を勧めている。
5段・6列組、計26マスの、人生になぞらえた飛び双六(とびすごろく)。振出(ふりだし)は最下段・右端の「出生」。サイコロの目にしたがい、指定されたマスに飛ぶようにして進み、最上段・中央の「上り(あがり)」を目指す。 各マスには、衛生に関する事項およびそれを説明する絵と和歌が配されている。たとえば、最下段・中央の「種痘」のマスには、母に連れられ種痘医から種痘をうける子の絵と、「わたつみの 深き恵に 海士(あま)の刈る もとの藻がさ〔天然痘〕は 絶え果てにけり」という和歌が載る。 【参考】 |
・香西豊子「近代、サイの目、疫病経験——明治期の衛生双六にみる日常と伝染病」、小松和彦編『禍いの大衆文化――天災・疫病・怪異』KADOKAWA、2021年。